いまさらながら鉄道のメカニズムを解説してみた。(ヨーロッパ編)
こんにちは。前回に引き継き鉄道を仕組みなどを説明していきます。
↓ 前作
前回は主に日本の鉄道のメカニズムを解説しました。では、ヨーロッパはどうなっているでしょうか。
ヨーロッパの場合
実はヨーロッパは上下分離方式が一般的。車両を管理している会社と線路を保有している会社は別々のことが多いです。例えばオーストリアの場合は駅の管理会社と車両の管理会社がそれぞれ別々です。
ここまで聞くと、「別々の会社だから線路を借りるお金を払わなきゃいけない上下分離方式はあまりよろしくない」と思う方もいるかもしれません。しかしメリットもあります。例えば新規参入がしやすくなる点です。
鉄道会社が自前の線路を保有にそこに自分たちの列車を走らせていると、新しくその路線に車両を走らせたいと思っていても難しいです。ヨーロッパの場合は日本のように一社が鉄道施設全てを管理していません。つまり、他の会社が同じ路線を走ることができるわけです。
例えばオーストリアの場合、ウィーン~ザルツブルグ間は国鉄の他にウエストバーン鉄道という路線が走っています。
それぞれ別々に路線を持ってるわけではなく、同じ路線を走っています。しかし車両を持ってる会社が違う、というわけです。同じ路線を走っているので所要時間はさほど変わりません。ではこの二つの会社何が違うかというと、サービスで差別化を図っています。例えば、座席の座り心地、軽食の提供、予約システムの違い、Wi-Fiの有無などです。
鉄道LCC
また、オーストリアの場合、駅を管理する会社は別にあるので国鉄とウエストバーンは駅を管理する会社に「駅使用料」を払って運行しています。これが料金に影響してくるんですね。大都市など乗降数の多い駅は必然的に駅使用料が高くなります。そのため、ウエストバーンなど比較的安い運賃の鉄道会社はこうした大都市の駅を避け、その近郊の駅などに発着します。鉄道版LCCといったところでしょうか。実際のLCCも東京に発着するときは、空港使用料の高い羽田ではなく成田にしてますよね。その方が安い運賃を提供できるからです。
鉄道発祥国イギリス
しかし会社がさらに細分化されている場合もあります。例えばイギリスなんかがそうです。イギリス国鉄は民営化の際に車両を管理する会社などなんと300社以上に分裂、解体されました。日本がJR7社だけということを考えるとなおさらすごいです。そのためイギリスでは上下分離方式が一般化されています。
さらにイギリスのすごいところは、鉄道会社がフランチャイズ方式で運営されており、その運営権は毎年路線ごとに入札が行われ国からの承認を得て獲得されます。そのため、毎年毎年同じ路線なのに運行会社が違うということがしばしばあります。山手線が去年はJRが運行していたのに、今年は小田急が運行、来年は東武で運行されるようなものです。
2017年にはなんとJR東日本と三井物産がイギリスのウエストランドアンドミッドランド鉄道の運営権を獲得しています。このように海外の鉄道会社も運営に参入できるのです。
もちろんこの方式にはデメリットもあります。それは会社が違うので手続きが煩雑になったり、コストがかかることです。それによって責任の所在が不明確になり、最悪の場合事故に繋がることもあります。
2000年にはハットフィールド(Hatfield)での事故では、レールトラック社と同社の私的な請負業者とによるおざなりな線路保全によって4人の死者を出す事故になっています。
このように日本のように一社で鉄道業務を完結するのも、上下分離方式のようにそれぞれの会社に分けることにも一長一短あります。
いかがでしたでしょうか?鉄道の基本的な運行システムについて解説しました。また別のネタでこういうのを取り上げて解説しようと思います。
[鉄道のメカニズムまとめ]
・ヨーロッパは基本上下分離方式
・私鉄は郊外の駅に発着するなどコスト削減を行なっている
・イギリスのように責任の所在が曖昧になってしまう場合がある
・鉄道は正義
では、最後までご覧くださりありがとうございました。